To Heart SS 「2たす1は∞(無限大)」 ~最終話~
2008年 10月 03日
※ごちゅうい
このお話は、アニメ版「To Heart 〜Remember my Memories〜」を基本設定としていますが、一部PS2版「To Heart2」の設定とキャラクターを使用しています。
また、この前のお話しに当たる「2たす1は∞(無限大)」=前編=、=中編=、=後編=をお読みいただけますと、お話しが繋がるようになっております。
つたないSSではございますが、お楽しみ下さい。
「あかり!あかりー!! 目を覚ましてくれよ。頼むから!」
そんな急にどうしたんだよ、あかり。
「ひろゆきさん、冷静になって下さい。」
冷静に? マルチ何言ってんだよ。こんな状態で冷静に何かなってられるかよ!
「浩之、何してんの! あかりを助けたいと思うなら離れて、治療の邪魔よ。」
邪魔って、何言ってるんだよ、綾香。本気なら相手をするぜ!!
「藤田さん、医師の検診中です。お下がり下さい。」
セリオ、こんな時も…。お前には心がないのか?
「浩之さん、ごめんなさい。」
先輩、なにを…。
綾香とセリオがオレを羽交い締めにし、先輩が”何か”をオレに呑ませた後、オレは意識を徐々に、白い霧の中に失っていった。
To Heart After scenario if?
「2たす1は∞(無限大)」 =最終話=
夢を見た。
何もない、真っ白な霧に包まれた、何処か。
そこに、俺は1人立っていた。
静かに泣いていた。
何で泣いているのか、何に泣いているのかも分からず、ただ涙は頬を濡らしていた。
霧は右前方から左後方へ流れていく。
オレの前方に、大きな影が見えてきた。何だろう?
徐々に、霧が晴れてくる。何か大きな物が建っていた。
霧が晴れた時、それは、オレとあかりの実家だった。
太陽の位置から考えて、既に昼過ぎだって言うのに、全く人気を感じなかった。
奥から、人か歩いてきた。
「お、お袋、親父、どうしたって…」
話しかけたオレを、何事もなかったように無視して、親父達は家に入っていく。
また、奥から人が歩いてきた。あかりの両親だった。
そして、道路の真ん中にいるオレに気が付かずに、家へ入っていった。
こ、怖い。
1人である恐怖
世界から拒絶される恐れ
心から祈った。愛する人の名を。
あかり。
あかり!
あかり!あかり!
あかりが目の前立っていた。
オレは、何のためらいもなく抱きしめた時、あかりがささやいた。
そう、囁くように静かに。そして冷気をはらんで。
「浩之ちゃんにとっての、家族って何?」
「はっ!」
「ひろゆきさん!気が付きましたが。随分、うなされていましたが」
「大丈夫だよ、マルチ。それと、ここは何処?」
「来栖川家の客室だそうです。」
「そうだ、あかりは、あかりはどうなったんだ!」
「大丈夫だとセリオさんから連絡がありました。意識も回復されて、精密検査の結果、脳にも異常はないそうです。」
「そっ、そっか。良かった。」
そう言いながら、未だに心は凍てついている。
あの夢の中の、あかりが言った言葉が、オレの心を凍えさせているから。
「もしもし、セリオさんですか? ひろゆきさんが目覚められました。」
そんなマルチの言葉も、聞き取れないぐらいに。
体の痺れもとれ、何とか自分で歩けるようになった頃、あかりの治療も終わったと知らせを受けて、セリオの案内の元、あかりに会いに行った。
「あかり」
オレの大切な愛するお姫様は、まだお休み中だった。
詳しい事情が聞きたいので、先輩や綾香に取り次いで欲しいと、セリオに頼んだのだが、彼女らは、晩餐会という名の立席会議に出席するために、今は取り次ぎが出来ないと言われてしまったのだ。
時計を見ると、夜の9時。
いつもなら、あかりと一緒に、温かい晩餐の時を過ごしているというのに、今は、ただ冷たい時間が流れていくだけ。
「あかり、オレ、大切な物を忘れて来たかもしれない。」
帰ってくる言葉が無いとしても伝えたい。
「あの時に出てきたあかりって、お前の心の中に住むお前じゃないか?」
懺悔かもしれない、懺悔する相手が牧師でなく愛する人の前で。
「やっぱり、お前はオレのことを良く研究してるよ。」
後悔かもしれない。今までの自分に対する。
「あかり、やっぱりお前は『世界で一番の浩之ちゃん研究家』だよ。」
そして、今まで《愛》は、本当の《愛》ではなかった事への。
だから、分かったことがある。だから、それを早く君に伝えたいんだ。
「うーん、ひろゆきちゃん。」
「あかり、ここにいるぞ」
「おはよう、ひろゆきちゃん。」
「もう、夜だ。おそようだ。」
「クス。やっぱり浩之ちゃんは浩之ちゃんだね。」
「ああ、オレは、オレだぜ。でも、今までのオレと今のオレとは違う。」
「えー、浩之ちゃんは浩之ちゃんだよ。ぶっきらぼうで、イジワルさんで、お寝坊さんで、とんでもないこと考えてて、ちょっとエッチで」
「オイオイ、オレそんなに酷いやつか?」
「でも、頼りがいがあって、凄く優しくて、家族を大切にしてくれる人だから。」
「あかり…。」
「でね、そんな浩之ちゃんに神様がプレゼントをしてくれたの。」
「何、それ?」
「うん、3ヶ月なんだって。」
え、ちょっと待て。3ヶ月って何だ?
結婚記念日はもう過ぎたし、誕生日までは…おたがい未だ関係ないな。
3ヶ月、3ヶ月、3ヶ月って、まさか。
「うん、できちゃった。赤ちゃんが出来たんだよ。浩之パパとママの赤ちゃんが。」
「あかり・・・あかり・・・・ありがとう。」
「そんな、浩之パパにかみさ…」
そんな言い訳をする、悪い口は実力行為で、しゃべられないようにしてやる。
長い、そして甘いキスは、あかりにオレの心が、決心が、誠の愛が伝わっただろうか。
お互いの唇がゆっくりと離れ、お互いの愛の雫でできたロープが触れた時、あかりは本当に愛される女性に、そして、母親の顔になっていた。
そして、その瞳に映るオレの顔は、父親の顔、男として家族を守り抜く闘士の顔をしていた。
「さぁ、これから大変だぞ。」
「そうだね。でもそれ以上に大変なのは浩之パパかもしれないね。」
「あー、まずひかりさんの攻撃は凄いだろうなぁ」
「がんばって、パパ。」
END
おまけ
その場に居合わせたのは、当然、マルチとセリオで、2人とも固まっていたのは言うまでもない。
さらに、事の子細は、すべてセリオ経由で芹香と綾香姉妹に伝わったのも、言うまでもない。
当然、社内であろうと、無かろうと、2人のバカップルというか親バカぶりが急上昇したのは必然である。
もちろん、バカ家族ッぷりも絶賛急上昇中であるもの当然である。
おまけ2
会社での綾香の個室の額には「バカは死んでも治らない」の額が飾られたそうである。
本当に終わり。
これまで、駄文をお読み頂き有り難うございました。
今回のSSに付いては、ネタはある程度、最初から決まっていたのですが、なかなか全体像を描くことが出来ませんでしたが、来栖川綾香女史の大活躍により、何とか形になりました。ありがたや、ありがたや。
To Heartと言う作品は、発売当時にファンの心を鷲づかみにし、多くの同人誌やSSが発表された作品でもあり、既に、続編と続編からのスピンアウト作品が作られており、ある意味既に古く、使い古された作品でもありますが、作品のメッセージは、未だに通じる物ではないかと思います。
この様な形ではありますが、To Heart SSを描くことが出来たことを感謝しております。
最後ではありますが、このSSを読んで頂いた皆様に、感謝を。
このお話は、アニメ版「To Heart 〜Remember my Memories〜」を基本設定としていますが、一部PS2版「To Heart2」の設定とキャラクターを使用しています。
また、この前のお話しに当たる「2たす1は∞(無限大)」=前編=、=中編=、=後編=をお読みいただけますと、お話しが繋がるようになっております。
つたないSSではございますが、お楽しみ下さい。
「あかり!あかりー!! 目を覚ましてくれよ。頼むから!」
そんな急にどうしたんだよ、あかり。
「ひろゆきさん、冷静になって下さい。」
冷静に? マルチ何言ってんだよ。こんな状態で冷静に何かなってられるかよ!
「浩之、何してんの! あかりを助けたいと思うなら離れて、治療の邪魔よ。」
邪魔って、何言ってるんだよ、綾香。本気なら相手をするぜ!!
「藤田さん、医師の検診中です。お下がり下さい。」
セリオ、こんな時も…。お前には心がないのか?
「浩之さん、ごめんなさい。」
先輩、なにを…。
綾香とセリオがオレを羽交い締めにし、先輩が”何か”をオレに呑ませた後、オレは意識を徐々に、白い霧の中に失っていった。
To Heart After scenario if?
「2たす1は∞(無限大)」 =最終話=
夢を見た。
何もない、真っ白な霧に包まれた、何処か。
そこに、俺は1人立っていた。
静かに泣いていた。
何で泣いているのか、何に泣いているのかも分からず、ただ涙は頬を濡らしていた。
霧は右前方から左後方へ流れていく。
オレの前方に、大きな影が見えてきた。何だろう?
徐々に、霧が晴れてくる。何か大きな物が建っていた。
霧が晴れた時、それは、オレとあかりの実家だった。
太陽の位置から考えて、既に昼過ぎだって言うのに、全く人気を感じなかった。
奥から、人か歩いてきた。
「お、お袋、親父、どうしたって…」
話しかけたオレを、何事もなかったように無視して、親父達は家に入っていく。
また、奥から人が歩いてきた。あかりの両親だった。
そして、道路の真ん中にいるオレに気が付かずに、家へ入っていった。
こ、怖い。
1人である恐怖
世界から拒絶される恐れ
心から祈った。愛する人の名を。
あかり。
あかり!
あかり!あかり!
あかりが目の前立っていた。
オレは、何のためらいもなく抱きしめた時、あかりがささやいた。
そう、囁くように静かに。そして冷気をはらんで。
「浩之ちゃんにとっての、家族って何?」
「はっ!」
「ひろゆきさん!気が付きましたが。随分、うなされていましたが」
「大丈夫だよ、マルチ。それと、ここは何処?」
「来栖川家の客室だそうです。」
「そうだ、あかりは、あかりはどうなったんだ!」
「大丈夫だとセリオさんから連絡がありました。意識も回復されて、精密検査の結果、脳にも異常はないそうです。」
「そっ、そっか。良かった。」
そう言いながら、未だに心は凍てついている。
あの夢の中の、あかりが言った言葉が、オレの心を凍えさせているから。
「もしもし、セリオさんですか? ひろゆきさんが目覚められました。」
そんなマルチの言葉も、聞き取れないぐらいに。
体の痺れもとれ、何とか自分で歩けるようになった頃、あかりの治療も終わったと知らせを受けて、セリオの案内の元、あかりに会いに行った。
「あかり」
オレの大切な愛するお姫様は、まだお休み中だった。
詳しい事情が聞きたいので、先輩や綾香に取り次いで欲しいと、セリオに頼んだのだが、彼女らは、晩餐会という名の立席会議に出席するために、今は取り次ぎが出来ないと言われてしまったのだ。
時計を見ると、夜の9時。
いつもなら、あかりと一緒に、温かい晩餐の時を過ごしているというのに、今は、ただ冷たい時間が流れていくだけ。
「あかり、オレ、大切な物を忘れて来たかもしれない。」
帰ってくる言葉が無いとしても伝えたい。
「あの時に出てきたあかりって、お前の心の中に住むお前じゃないか?」
懺悔かもしれない、懺悔する相手が牧師でなく愛する人の前で。
「やっぱり、お前はオレのことを良く研究してるよ。」
後悔かもしれない。今までの自分に対する。
「あかり、やっぱりお前は『世界で一番の浩之ちゃん研究家』だよ。」
そして、今まで《愛》は、本当の《愛》ではなかった事への。
だから、分かったことがある。だから、それを早く君に伝えたいんだ。
「うーん、ひろゆきちゃん。」
「あかり、ここにいるぞ」
「おはよう、ひろゆきちゃん。」
「もう、夜だ。おそようだ。」
「クス。やっぱり浩之ちゃんは浩之ちゃんだね。」
「ああ、オレは、オレだぜ。でも、今までのオレと今のオレとは違う。」
「えー、浩之ちゃんは浩之ちゃんだよ。ぶっきらぼうで、イジワルさんで、お寝坊さんで、とんでもないこと考えてて、ちょっとエッチで」
「オイオイ、オレそんなに酷いやつか?」
「でも、頼りがいがあって、凄く優しくて、家族を大切にしてくれる人だから。」
「あかり…。」
「でね、そんな浩之ちゃんに神様がプレゼントをしてくれたの。」
「何、それ?」
「うん、3ヶ月なんだって。」
え、ちょっと待て。3ヶ月って何だ?
結婚記念日はもう過ぎたし、誕生日までは…おたがい未だ関係ないな。
3ヶ月、3ヶ月、3ヶ月って、まさか。
「うん、できちゃった。赤ちゃんが出来たんだよ。浩之パパとママの赤ちゃんが。」
「あかり・・・あかり・・・・ありがとう。」
「そんな、浩之パパにかみさ…」
そんな言い訳をする、悪い口は実力行為で、しゃべられないようにしてやる。
長い、そして甘いキスは、あかりにオレの心が、決心が、誠の愛が伝わっただろうか。
お互いの唇がゆっくりと離れ、お互いの愛の雫でできたロープが触れた時、あかりは本当に愛される女性に、そして、母親の顔になっていた。
そして、その瞳に映るオレの顔は、父親の顔、男として家族を守り抜く闘士の顔をしていた。
「さぁ、これから大変だぞ。」
「そうだね。でもそれ以上に大変なのは浩之パパかもしれないね。」
「あー、まずひかりさんの攻撃は凄いだろうなぁ」
「がんばって、パパ。」
END
おまけ
その場に居合わせたのは、当然、マルチとセリオで、2人とも固まっていたのは言うまでもない。
さらに、事の子細は、すべてセリオ経由で芹香と綾香姉妹に伝わったのも、言うまでもない。
当然、社内であろうと、無かろうと、2人のバカップルというか親バカぶりが急上昇したのは必然である。
もちろん、バカ家族ッぷりも絶賛急上昇中であるもの当然である。
おまけ2
会社での綾香の個室の額には「バカは死んでも治らない」の額が飾られたそうである。
本当に終わり。
これまで、駄文をお読み頂き有り難うございました。
今回のSSに付いては、ネタはある程度、最初から決まっていたのですが、なかなか全体像を描くことが出来ませんでしたが、来栖川綾香女史の大活躍により、何とか形になりました。ありがたや、ありがたや。
To Heartと言う作品は、発売当時にファンの心を鷲づかみにし、多くの同人誌やSSが発表された作品でもあり、既に、続編と続編からのスピンアウト作品が作られており、ある意味既に古く、使い古された作品でもありますが、作品のメッセージは、未だに通じる物ではないかと思います。
この様な形ではありますが、To Heart SSを描くことが出来たことを感謝しております。
最後ではありますが、このSSを読んで頂いた皆様に、感謝を。
# by ka-neru_japan | 2008-10-03 02:51 | SS (To Heartシリーズ)











