※ごちゅういこのお話は、アニメ版「To Heart 〜Remember my Memories〜」を基本設定としていますが、一部PS2版「To Heart2」の設定とキャラクターを使用しています。
また、このお話の前に当たる「2たす1は∞(無限大)」=前編=と=中編=をお読みいただけますと、お話しが繋がるようになっております。
つたないSSではございますが、お楽しみ下さい。
先ほど、HMX-12 Multiによる新感情制御プログラムの研究所内で行う実地試験の行程は全て終わった。
終わってしまった。
そしてそれは、研究所外での実地運用試験の始まりでもあった。
担当責任者は、「藤田 浩之」主任補。つまりオレ。
高校時代と同じ組み合わせ、なんだが…。
今回は違う。
だって、オレ妻帯者だから。あかりがいるから。
超高性能メイドロボにも負けない、そうHM-16シリーズなんて足元にも及ばない、超高性能奥さまがいるんだけど。
「ちきしょう。全部、綾香のせいだ。」
つまり、そういう事である。
To Heart After scenario if?
「2たす1は∞(無限大)」 =後編=「おーいマルチ、マルチ?」
明日から3連休の為か、今日は職員、研究員を含め皆、仕事を早めに切り上げる者が多い。
その為か、いつもの雑然とした雰囲気とは違い、研究所内は、しーんと静まりかえっている。
マルチは、予定より半日早く実地試験が終わり、研究所内で行える試験データの全てを取り終わり、メインコンピューターへのデータ吸い込みも完了したので、家へ連れて帰ろうと捜しているだか、全く見つからない。
あかりと一緒に帰宅したのかと思って、携帯に電話を入れても、留守番電話になるだけ。
仕方がないので、メールを打って置いて、また所内をウロウロ探しているのだが。
「おっかしーなぁ。どうしたんだ。まったく、かったりーなー」
無駄に歩き回って喉が渇いたので、缶コーヒーをチビチビやりながら、休憩所で待ってみた。と、言うか、探し疲れたんだが。
「あれ、浩之。どうしたの?こんな所で。」
「ああ、綾香か。いや、マルチとあかりを捜しているんだけど、全く見つからなくて。」
「で、浩之はそんな情けない顔をして、こんな所でぐだまいているの。全くこのバカップルは。」
綾香、そんなに、嫌そうな顔をしないでくれ。
こっちはさらに落ち込むじゃないか。
やっぱり、あかり分が足らないせいかな。
「そう言えば、メール出していなかった? 昼過ぎに体の調子が悪そうだったから、あかりは先に帰らせたわよ。って。」
は?綾香さん。私(あかりの旦那)、そんな話し聞いてないんですが。
それに、今日はずっとメインコンピュータールームに缶詰になって、端末もさわれずにいたんですが。
だから、出社してから、あかりに一度も会っていないし、昼飯もあかりお手製お弁当が食べられなかったのに。
さらに、それを指示したのは、綾香お前だろぉぉぉぉ!
「ハイハイ、そんなに怒らない。悪かったわよ、もう。マルチは、今まで私の所にいたから、もうそろそろスタッフルームへ来るはずよ。」
「そ、そうなのか。分かった。しかし、何でオレの考えたこと分かった?」
「あのねぇ。全部しゃべっていたわよ、あなた。」
や、やべぇ。またヤッちまったか。綾香、微妙に笑顔が引きつってるし。ここは三十六計逃げるにしかずってね。
「じゃ、今からマルチを迎えに行ってくる。」
「ええ、お願い。後、あかりの体調が良くなったら、電話貰える?」
「どうしたんだ?」
「うん、セリオにね、会わせたいから。それに、姉さんも2人に会いたいって言っていたから。是非来て欲しいの。」
そうか、そう言うヤツだもんな。綾香は。
「分かった、時間はどうする?」
「姉さん、お昼過ぎぐらいまで、仕事のことが色々有るみたいだから、3時ぐらいが良いんだけど。セバスチャンを迎えに行かせるから。」
「OK、わかった。じゃあ、どちらにしても、お昼過ぎに一度電話するよ。」
「わかったわ、じゃ、気を付けてね。」
「ああ、綾香もな。」
少し冷めた缶コーヒーを一気飲みして、オレはマルチを迎えに、ラボの横にあるスタッフロームへ向かった。
体に不釣り合いな大きなバックを持った、マルチが所在なさげに待っていてくれた。
だから、オレは、前から言いたかったことを言ったんだ。
「マルチ、さぁ一緒に家へ帰ろう」ってな。
もちろん、とびきり最高な笑顔で。
「ただいま。あかり大丈夫か?」
「お邪魔します。」
「おかえりなさい、浩之ちゃん、大丈夫だよ。それと、マルチちゃん。ここは、マルチちゃんの家でもあるんだから、ただいまでしょ?」
「あ、あかりさん(・_・、)」
「そうだぞマルチ。今日からここは、俺たち家族の家なんだからな。」
「有り難うございます。浩之さん、あかりさん。」
よかった。
本当に良かった。いつかこんな日が迎えられると信じて、ちょっと無理してローンを組んで買った、この新築マンション。
オレの両親やあかりのご両親にも迷惑は掛けたくないからって、オレとあかりの貯金を叩いて頭金にした時は、
「あなた達は、私たちにとって、ずーっと子供なんだから、偶には甘えなさい。それに、お隣の浩之ちゃんは、小さい時から知っているんだから、今更、格好つけても、格好良くないわよ。」
って、ひかりさんにちょっと怒られたっけ。
でも、俺たちが家族になるためには、やっぱり、家族だけの家が欲しかったんだ。
「あかり、今日、本当に大丈夫だったか?」
「うん、ゴメンね。浩之ちゃん。心配かけて。ちょこっと、貧血気味だったみたいで。で、でも今は大丈夫だよ。」
「うん、ならいいんだけど。辛くなったらすぐ言えよ。」
「ありがとう、浩之ちゃん。」
「あ、あの、浩之さん、あかりさん。遅くなりましたが、ご結婚おめでとうございます。」
「あれ、あかりと結婚したこと、マルチに話したっけ?」
「いいえ、今のお二人に会話を聞いていたら。それと、お二人とも結婚指輪をされてるので。」
あちゃー、またバカップル状態だった訳か。あかりも頬を赤らめてるし。
もう、いい加減なれろよ、あかり。
「あ、明日、昼過ぎから時間空いてるか? 綾香から来栖川家へ招待したいって言付けを頼まれて居るんだけど。来栖川先輩も会いたいって。」
「だ、大丈夫です。」
「うーん、私は…。うん、大丈夫だよ。」
「あかりは…明日の体調見てから決めよう。綾香にもそう言ってあるし。」
「分かったよ。じゃご飯にしよ。今日は頑張ったんだからね。」
「「うわー」」
さすが、あかり。本当にうめー、これだけ凄いのは久しぶりだなぁ。これだけあるのにどんどん食べられるよ。あかり、オレを太らせる気か?
その夜、俺たち家族は、客間に布団を出して川の字になって眠った。
オレは、久しぶりに高校時代の嬉しくてほろ苦い夢を見た。
「相変わらず、呆れるほどでかいなぁ、この屋敷は。」
来栖川家の招待を受け、先輩と綾香とセリオに会いにやって来た。
時間的には、【3時のお茶会】って感じかな。
紅茶とスコーンは本当に美味しかったけど。
しかし、相変わらず先輩は、先輩なんだなー。と、思ったのは出迎えてくれた、黒魔術のマントと帽子を見た時だったのは、秘密だ。
マルチは、セリオを見た瞬間から、ぐずり出すし。
感動過ぎるご対面って、ヤツだったんだろうな。
そんな、気持ちがいい時間がゆっくり流れていたが、楽しい時間って言う物は、あっという間に過ぎ去ってしまう物なんだぁ。
時代物の大きな古時計が、6つの鐘の音を鳴らした。
「もう、こんな時間か、ごめん、先輩、綾香、セリオ、もうそろそろお暇するよ」
「えーイイじゃない、夕食ぐらい食べていきなさいって。誰も迷惑なんかじゃないし」
「ごめんなさい綾香さん、今晩は浩之ちゃんの実家に行くから。」
「あーそう。あの件?」
「う、うんその事もあるけど。やっぱりマルチちゃんを『新しい家族です』って紹介したいから。」
手を合わせて、来栖川姉妹に【ごめん!】って謝っているけど、先輩ちょっと悲しげだな。
ホント、ごめんよ。
「だから、また今度でもいいかな?」
「あかりがそう言うなら、まぁ、良いわよ。」
「ごめんなさい、く・る・す…」
バタン!
その時、何が起こったのか分からなかった。
さっきまで、普通に話しをしていた、あかりが倒れた。
「あ、あかりー!!」
駆け寄って、抱き寄せようとした時、先輩に止められた。
もし、頭を強打している場合は、動かしてはいけないと。
そこから先は、覚えがない。
ただ、取り乱す綾香とは対照的に、先輩は来栖川家お抱え医療チームを呼ぶために、電話を掛けていた。
つづく
終わりませんでした。
あちゃーやってもーたー。本当は、終わらせるはずだったんですよ。その為に、マルチとセリオの感動の対面シーンとか、色々すっ飛ばしたんですが。
文才のなさですね。まぁ、計画性がないとも言いますが。
えー次回で完全に、本当に終わらせますので。
今暫く、駄文にお付き合いの程を。
次回、最終話で